今回テーマに選んだのは、婚活パーティーと婚活サイトの現実。これまで、30~40代男性の半数以上がどちらか、または両方を経験しています。
当時、筆者が婚活を始めた30代もなかなか成功できずじまい。また、ほとんどの人が「全然うまくいかない」というのは大きな問題。特に30~40代の独身男性たちは、現実を突きつけられ、つらい思いをしていました。
しかし、婚活パーティーや婚活サイトが成婚カップルを生み出し、事業として成立している以上、成功者がいるのも、また事実。彼らの成否を分けるのはどんなことなのでしょうか。
短時間で白黒をつけ合うシビアな場
「婚活」と言えば誰もが思い浮かべるものですが、良く言えば“最も楽できる結婚目的の出会い”。悪く言えば“条件を突きつけ合い、短時間で相手を品定めする残酷な場”。
つまり、”縁のない女性との出会いをお膳立てしてもらえる”というメリットが得られる一方、”年齢・外見・収入などの簡単なプロフィールしか分からない相手と、短時間で白黒をつけ合わなければならない”というデメリットがあります。
ここで、とある、婚活を始めた30代男性(高砂さん)のエピソードをご紹介します。
高砂さんは、2つの婚活パーティーへ参加しつつ、最大手の婚活サイトに登録。婚活パーティーでは、「思っていた以上にかわいらしい女性がいて希望が持てた」ものの、目安にしていた“29歳までの女性”からはまったく相手にしてもらえなかったそうです。それどころか、けっきょく誰からも“気になる人マーク”をもらえず、最後のマッチングも不成立で、連絡先を得られず終了。「もうこんな思いはしたくない」とやり切れない気持ちで、逃げるように会場を去ったそうです。
一方の婚活サイトでも、30数人にメッセージを送りながら返事は2通のみで、しかも二度やり取りをしただけでフェードアウトされてしまいました。メールのやり取りすらままならない原因を探ろうとネット検索をしたところ、「30代のオッサンが必死にメッセージを送りまくってきて困る」「ちょっと話しただけで『何で今まで結婚できなかったのか?』がすぐにわかるほど話が下手で引いた」などの厳しい言葉を見つけてますますショックを受けてしまったのです。
ちなみに高砂さんは、安定した企業に務めているため、収入面も問題ありません。ただ、30代半ばという年齢に加えて、女性経験が極端に少なく、さらには、なかなかの人見知りであるため、女性とのトークやメールが苦手なことで、うまくいかなかったことがわかりました。婚活パーティーにおけるトークは「たった数分」、婚活サイトにおけるメールも「たった数十文字」という短いものだけに、年齢の高さとコミュニケーション力の低さがネックでした。
しかし、”短いトークやメールで女性の心をつかむことが難しい”のは当然であり、婚活中の女性たちはそんなことを求めていません。もちろん、「恋愛の延長線上に結婚を考える」恋愛体質の女性もいますが、大半は「短いトークやメールで好きになれるとは思っていない」という現実を理解したうえで結婚相手を探しに来ています。
婚活中の女性が考えているのは、ぼんやりとした恋愛ではなく、現実としての早期結婚。「外見や収入はいいに越したことはないけど、それよりも感じよく会話できて、価値観や生活スタイルが合う男性を探したい」と思っているのです。
「3ギブ&1テイク」で女性の心をつかむ
数多くの失敗を重ねた高砂さんは、「短期勝負である婚活パーティーや婚活サイトで、40代が不利なのは仕方がない」という現実と、「短いトークやメールでも、その不利を覆せる可能性はあるのでは」と考えました。
年齢の不利を覆す最大の方法は、婚活中の女性たちが求める”感じよく会話できて、価値観や生活スタイルが合う男性”になり切ること。ビジネスでのやり取りは「ギブ&テイク」が基本ですが、婚活を成功させたいのなら「3ギブ&1テイク」という感覚がちょうどよく、これをトークやメールで実践すればいいのです。
ギブ1 相手への質問
相手への関心を伝え、会話のきっかけを与えます。
ギブ2 相手の回答に対する共感
「僕もそう思います」「それはいいですね」などの言葉で自己肯定感を与えます。
ギブ3 相手に対する誉め言葉
話の内容や話し方、外見や持ち物をホメることで、幸福感を与えます。
これらの3つのギブができれば、相手からも、質問、共感、ホメ言葉など、何かしらのテイクをもらえる・・・かも。
ここで疑問が生まれます。”時間が短いのだから、もっと自己PRしたほうがいいのでは?”という疑問。
しかし、その考え方は真逆。すぐに別れても問題ない通常の恋愛では、もう少し押しの強い男性のほうが女性の心をつかみやすいものですが、長い結婚生活を視野に入れた婚活では”女性を大事にできる” ”コミュニケーションが取りやすい”ことを感じさせるほうが重要なのです。
結婚が目的の場では「NO」が当たり前
婚活パーティーと婚活サイトから、結婚までたどり着ける人は驚くほど多くありません。カップル成立率は約1割程度で、成婚率となると、さらにガクッと数字が下がるのです。
その理由は、先述したとおり、”面識のない男女が条件を突きつけ合い、短時間で白黒をつけ合う”というシステムそのものにあるから。よほど外見や収入がいい男性でないかぎり、婚活パーティーはプロフィールカードと数分の会話だけで、婚活サイトはプロフィール画面と数回のメール交換だけで、女性たちから「NO」を突きつけられる可能性が高いのです。
つまり、婚活パーティーと婚活サイトは、外見や収入がいい男性にとって効果的なシステムであり、そうでない人ほど「3ギブ&1テイク」などの工夫が必要なのですが、それをしたところで不利な状況を覆せるとは限りません。また、カップルになれたとしても、それはプロフィールの部分で短期的なマッチングが成立したに過ぎず、長期的な目で見た価値観や結婚観のマッチングがうまくいかなければ結婚にたどりつけないので油断は禁物です。
相席居酒屋、相席カフェ、婚活バー、街コンなどの出会いもすべて同じ。“結婚だけ”が目的であり、短時間で白黒をつけ合う場では、よほど外見や収入が優れていないかぎり「NO」を突きつけられるのが当たり前なのです。外見や年収に自信がない30~40代の独身男性は、あらかじめ覚悟しておいたうえで臨むほうがいいでしょう。
そもそも婚活パーティーと婚活サイトは、「電話やメール1本で予約できるうえに、数千円のおカネで出会える」という簡単かつ安価もの。「人生の宝くじを買うつもりのダメ元で、繰り返し挑戦してみよう」くらいの感覚がちょうどいいのです。
2021年現在の日本の生涯未婚率は、男性が38.7%、女性が30.9%となっています。(出典:厚生労働省「平成29年版 職業安定白書」)
つまり、”男性の4人に1人、女性は3人に一人が一度も結婚していない”という現実
さらに注目すべきは、2025年には男性27.4%、女性18.9%、2035年には男性29.0%、女性19.2%に上がると推計されていること。
現在30~40代独身の人は、かなりの高確率で未婚のまま50歳を迎え、世間から「一度も結婚できなかった人」と結論づけられてしまいます。
まとめ
”1人で生きていく”という決意を固め、老後の準備をしている人はほとんどいません。不安を抱えながらも、これまでどおり過ごしているだけで、”精神的な孤独や身体的な不調、特に病気やケガなどのピンチにどう対処するか?”という問いに向き合っていかなかればならないのです。
しかし、高砂さんは、その不安が続くことで、自分の家族にも不安にさせたくないことから、結婚相談所の扉を叩きました。
結婚するもしないも自由であり、どちらの人生にも楽しさは見いだせるでしょう。しかし、”約3割の人が人生で一度も結婚できない” ”何もしなければ、ほぼ確実にその1人になる” という現実がある以上、それを自覚することが危機管理につながるのは間違いありません。
30~40代の独身男性が、「人生で一度は結婚したい」と思っているのなら、「安くて、簡単な」婚活パーティーと婚活サイトばかりに頼らないことが大切。“その他の出会い”を含めた自らの行動で、結婚の可能性を高めようという姿勢が求められているのです。